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絵本作家インタビュー | 穂高順也さん

絵本童話作家 穂高順也さん

穂高順也(ほたかじゅんや)
愛知県生まれ。日本児童文芸家協会理事。
「さるのせんせいとへびのかんごふさん」(1999年 絵:荒井 良二 ビリケン出版)でデビュー。 作品に『どどのろう』(岩崎書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん』(偕成社)、 『とうさんとうさんいかがなものか?』(あかね書房)、『なきんぼあかちゃん』(大日本図書)、 『よるのさかなやさん』【文溪堂)など。


第3回 絵本フェスタ川口のステージイベントで、絵本童話作家 穂高順也さんの『なべぶぎょう いっけんらくちゃく』が役者による「語り」で披露されます。
『さるのせんせいとへびのかんごふさん』『よるのおさかなやさん』『よるのおようふくやさん』などの作品を次々に生み出す穂高順也さんにお話を伺いました。

【絵本フェスタ川口実行委員】(以下【絵】)
『なべぶぎょう いっけんらくちゃく』のあとがきで、 「子ども時代に読んだ本「金の音」を読んで、弱者を守る裁判官のお話に胸が躍り、この裁判官を「大岡越前」にした再話絵本を書きたい!」 と思ったことが、この作品が誕生するキッカケとなったと書かれてありますが、 「大岡越前」がいつの間にか、頭がお鍋の「鍋奉行」に変わっていったのには何かエピソードがありますか?

【穂高順也さん】(以下【穂】)
これは、本に書いてある通り、昔読んだ話をいつか再話絵本にしたくて温めておりましたが、版元さんからすると、ただの民話の再話絵本というだけでは弱いと思われてしまったという事だと思います。キャラクターを立てるという方法といいますか。それで、裁判官を出すなら、時代劇風に、奉行を出して見る?→自分に馴じみがあるのは大岡越前守か遠山の金さん→今の子供に馴染みがない→しかもキャラが大人よりも子供っぽい主人公が望ましいと指摘される→鍋奉行という言葉があるのに気づく→鍋を擬人化したらどうか?→そうしよう!

【絵】:保育士を経て絵本作家デビューをされた穂高先生。 「ひょっこり ひょこひょこ ぬーるぬる」「ぐつぐつ ぶつぶつ 煮えた!」 小さな子どもが繰り返し言いたくなるリズミカルな言い回しや、大人も思わず「ニヤリ」としてしまうようなユニークな台詞など、 こういった言葉が思いつく瞬間は、どんな時ですか?

【穂】:オノマトペ って事ですね? 夜の魚屋さんは、兎に角、楽しいオノマトペにしようと思いました。死んでたはずの魚が起き上がりはね上がりゆっくりと進む様を、読み易く面白く、しかも、きもここちよいフレーズをと。
なべぶぎょうの時は、まず、鍋を使うからには、鍋ならではさが欲しいと言われた事と、 シリーズ化も、チョット頭をよぎってたので、とんちを思いついた時の「決めゼリフ」的なものは出せないか?とも言われたので、 若い人は知らないでしょうが、 一休さんですと、「ポクポクポクポクポクチーン」 バイキングビッケだと、 鼻の脇を指でこすり指を「パチン」とならす。 など、 そういうのを入れ込みました。キャッチーにもなるかなと思えましたし。
アイデアは、普通、ボーッと何も考えてない様な時に、天から降臨してくるもんです。 しかし、今回のオノマトペは、上記の理由で、考えて意図的に創りました。

【絵】:今年の4月には、よるのシリーズ『よるのおさかなやさん』に続く最新作『よるのおようふくやさん』が発売になりました。 たくさんの作品を世に生み出す中で、作品作りをする上での原動力になるものは何ですか?

【穂】:創作の原動力ね。
怒り、恨み、嘆き、哀しみ、苦しみ、 そして最も重要なのが、 ねたみ、ひがみ、そねみ これらを喰って活きてます。
幸福で満ち足りた状態からは、何も生まれません。作品は楽しくて笑えるものであったとしても、作者は、怒りや苦しみ孤独の中で、悔しくて奥歯を噛み締めながら紡ぎ出しているかもしれない。そう思って読むのも楽しいかもしれませんね。ははは。

ご自身も、著書の読み聞かせをすることがあり、可愛い被り物や衣装を着ている姿を拝見したことがあります。 ユニークな物語が生まれるのは、このようなサービス精神や面白さを持った穂高順也さんだからこそ!
そして、大人が読んでも「ニヤリ」としてしまう絵本が生まれる背景には、穂高さんの「人間らしさ」が滲み出る、そんな想いがあるのですね。
昨年の絵本フェスタ川口では、著書のサイン会やステージでの対談で盛り上げて下さいました。 今年は、絵とメッセージをガラガラポンポンと届けてくれる、「猫の言霊」を開催。著書の販売・サイン会もあります。
わたしたち実行委員も、とっても楽しみにしています!

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